今回のアメリカの金融危機では、保険会社大手のAIGも破綻の危機に瀕した。
AIGは、日本でもアリコジャパンなど生損保5社を運営しており、一時は「自分の保険は大丈夫か」という電話の問い合わせが殺到したり、ホームページにアクセスが集中して表示されなくなったりしたそうだ。FRBの緊急融資によって、AIGはとりあえずは救済され、騒ぎは一段落したわけだが・・・。

もちろん、「自分が賭けてきた保険がどうなるか?」が、気になるのは当然だろうが、「日本法人には、破綻の影響は直ちにはこない」「契約者保護制度があり、破綻してもかなりの部分は守られる」等の説明で一安心してすませてしまうのではなく、「AIGのような世界のトップ保険会社でも破綻に瀕することがある」という事実をとらえ、保険というものを捕らえなおすきっかけになればいいと思う。

日本は、世界でも類を見ないほどの保険大国だといわれているが、最近の調査などを見てみると生命保険の加入率は約80%にも上る。(*1)
しかしながら、一連の不払い問題からもわかるように、契約者が保険内容をあまり理解していないケースも多いし、もっといえば「本来であれば請求できたのに請求しなくても済んできた」ということは、そもそも保険の必要性はあったのか?ということすら疑問である。

人々は「もし、突然ガンを宣告されたら・・・。」「万一、子どもが小さなうちに、主人が死んでしまったら・・。」と、保険に入る。ただ、その中身についてきちんと理解していなかったり、なんとなく進められて入っていたとしたら、それはリスクに備えたのではなく、不安をまぎらしたのにすぎないのではないだろうか。それにしては、支払う保険料は高すぎないだろうか?

将来起こりうる確率の低いリスクに備えるためにお金を使うのは割が合わないので、あえて保険には入らない。それよりも自分自身にキャリアやスキルを身につけておくため、あるいはいい人間関係やネットワークを築いておくために、今にお金を使うという人もいる。万一のときにより支えになるのは、お金よりも、自分自身のぶれない生き方や信頼できる人間関係であるという考え方だ。それはそれで、ひとつの選択である。「保険に入る」という選択をする際にも、同じくらい明確な考え方をもっていたい。多くの人が入っているから・・というのは理由にはならない。

それに、お金を使う時は、もっともっと慎重でなくてはならない。
そうでないと、突然、わが身に降りかかってくる思いがけない事態に呆然とすることになるかもしれない。それが、ここまで高度に進展した資本主義世界に生きるということだ・・・と、今回の出来事は、生々しく教えてくれた。

(*1)は、以下のデータを参考にしました。

●生命保険文化センター「生活保障に関する調査/平成19年度」
加入率は男性では80.8%、女性では79.2%となっています。
http://www.jili.or.jp/lifeplan/event_type/lifesecurity/provision/5.html

●生命保険文化センター「平成18年度 生命保険に関する全国実態調査/平成18年度」
生命保険の加入率(全生保)は87.5%。
http://www.lifegarden.jp/archive1.html

●MyVoice 生命保険会社のサービス(第4回/2008年9月1日~9月5日)
http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/12204/index.html
「生命保険に入っていない・わからない」人は18.8%。
MyVoiceが実施している過去の調査を見ても、大体20%程度で推移している。